ポリフェノールは抗酸化作用があり、摂取すると健康に良いというイメージがあると思いますが、
妊娠中にポリフェノールを摂取しすぎると胎児に影響が出る可能性があります。
こちらでは妊娠中のポリフェノールについて紹介致します。
妊娠中のポリフェノール摂取量に注意!
妊娠後期にポリフェノールを日常的に多量に摂取していると
胎児に影響が出る可能性があります。
具体的には妊娠の後半(28週以降)に多量のポリフェノールをとると、
プロスタグランディン(DGE2)というホルモンと拮抗して、
赤ちゃんの心臓にある動脈管が狭くなり、心不全となり赤ちゃんがお腹の中で弱ってくる、
あるいは死亡を引き起こす可能性が出てきます。
参照:小川クリニック産婦人科
胎児動脈管早期収縮とは?
胎児は肺呼吸ができないため、心臓から肺を経由せずに全身に血液を送る「動脈管」という血管を通して
酸素を摂り入れています。
動脈管は出生後に閉じますが、出生前でも動脈管が狭くなったり閉じたりすることがあります。
これを動脈管早期収縮というのですが、
胎児の動脈管が閉じると肺への血流が増加し、肺や心臓への負担が増して、
胎児の命に関わることがあります。
どれくらいの量で胎児動脈管早期収縮になりやすいの?
胎児動脈管早期収縮を起こした時のポリフェノール摂取量は
400~1200mg/日と推定される一方で、過去には200~780mg/日のポリフェノール量で
動脈管早期閉鎖を来したとされる報告もあります。
参照:昭和学士会誌 第83巻 第6号(373-379頁,2023)
他の事例も見てみると、目立つのはルイボスティーや紅茶、プルーンを好んで飲食していた妊婦の例が目立っており、
ただどこから「過剰」と捉えるか、明確な基準はありません。
森田医師によると「毎日500~1000mgを摂っていた症例が多い」と述べています。
1000mgというと、ルイボス茶1.5リットル、ココア10杯、高ポリフェノールチョコレート50g(板チョコ1枚)などに相当します。
参照:中国新聞デジタル
ポリフェノールの摂取をやめると回復する
Zielinskyの報告では、
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の内服歴のない母親51人に
ポリフェノールの摂取を中止させ、3週間後に再評価を行なったところ
48人の胎児において動脈管収縮が完全に回復したことを報告しています。
この時の母親のポリフェノール摂取量の中央値は286mg/日であり、
1日のポリフェノール摂取量を0.12mg/日以下まで減らした結果、
動脈管の収縮速度と拡張期速度が減少したと報告しています。
このことから妊娠後期に母親のポリフェノール摂取量を減らすと動脈管収縮が
改善することが示唆されました。
参照:昭和学士会誌 第83巻 第6号(373-379頁,2023)
ポリフェノールが含まれている飲食物
ポリフェノールとはほぼ全ての植物に存在する苦味や色素の成分になります。
まずポリフェノールの種類を見てみましょう。
- アントシアニン:赤ワイン、ぶどう、ブルーベリー
- フラボノール:トマト
- カテキン:緑茶、紅茶
- カカオポリフェノール:ココア、チョコレート
- ルチン:そば、柑橘類
- イソフラボン:豆類
- コーヒーポリフェノール:コーヒー
などが挙げられます。
次に100gあたりのポリフェノール含有量を見てみると
- コーヒー 200mg
- 緑茶 115mg
- 紅茶 96mg
- トマト・野菜ジュース 69mg
- ココア 62mg
- ごぼう 49mg
- ほうれん草 42mg
- 烏龍茶 39mg
- 豆乳 36mg
- ルイボスティー 40~120mg
- あずき茶 50mg
- 板チョコ(ミルクチョコレート)1枚50g 343mg
- チョコレート効果CACAO72% 1枚5g 127mg
- チョコレート効果CACAO86% 1枚5g 147mmg
- チョコレート好悪かCACAO95% 1枚5g 174mg
まとめ
妊娠後期(28週以降)の日常的なポリフェノール摂取は、
胎児動脈管早期収縮を引き起こす可能性があるため、
ポリフェノール摂取量には注意が必要です。
どこからが摂りすぎという明確な基準はないものの、
早期収縮になった母親のポリフェノール摂取量は
毎日500~1000mgが多かったとされています。
また、過去には200~780mg/日で早期収縮を来したという報告例もあるため、
妊娠後期はポリフェノールの摂取量に注意が必要です。