妊娠中でもタイ料理を楽しみたいけれど、安全に食べられるものが限られているのではないかと不安に思う方も多いでしょう。
タイ料理には、辛味や酸味が特徴の料理が多く、特定の成分や食材が妊娠中にどのような影響を与えるのか気になるところです。
この記事では、妊娠中に避けるべきタイ料理や、安心して食べられる料理リスト、さらには調理や外食の際に気を付けるべきポイントについて詳しく解説します。
妊娠期間中でも美味しいタイ料理を楽しむためのヒントを得て、安全で健康的な食生活を送りましょう。
妊娠中にタイ料理を楽しんでも大丈夫?
① 妊娠中にタイ料理を食べても良い理由とその効果
タイ料理は新鮮なハーブやスパイスを豊富に使った料理で、独特の風味とともにさまざまな健康効果を持っています。
妊娠中は、栄養バランスを保つことが特に重要ですが、タイ料理にはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれているため、栄養価の高い選択肢です。
例えば、トムヤムクンに含まれるレモングラスやライムジュースには抗酸化作用があり、免疫力を高める効果があります。
妊娠中でも適切な量を守れば、タイ料理は健康的な食生活に貢献することができます。
② 妊娠初期と後期でタイ料理を選ぶ際の注意点
妊娠初期と後期では、体の状態や栄養の必要性が異なるため、タイ料理の選び方にも工夫が必要です。
初期には特に、刺激の強い辛味や酸味を避けることが推奨されます。
これは、つわりの症状を悪化させる可能性があるためです。
一方で、妊娠後期には高血圧や浮腫のリスクが高まるため、塩分の多い料理には注意が必要です。
外食の場合は、スープやソースの量を控えめにするなどして、塩分摂取を調整しましょう。
③ 妊娠中に避けるべきタイ料理とは?
妊娠中に避けるべきタイ料理には、生のシーフードが含まれる料理や、発酵食品を使ったものがあります。
例えば、生春巻きに使われるエビや魚介類が生のまま、あるいは加熱が不十分な状態で使われている場合、リステリア菌やサルモネラ菌による食中毒のリスクが高まります。
妊娠中は免疫力が低下しているため、これらの感染症にかかるリスクが通常より高いです。
生春巻きを選ぶ際は、加熱された具材を使用したものや、信頼できるレストランで提供されるものを選ぶと良いでしょう。
また、未熟なパパイヤを使ったソムタム(青パパイヤのサラダ)や、発酵食品を使ったナムプリック(発酵した魚介のソース)なども、妊娠中には避けるべきです。
タイ料理に含まれる成分と妊娠中の影響
① レモングラスやその他のハーブの影響
レモングラスやターメリックなど、タイ料理にはさまざまなハーブやスパイスが使用されます。これらの成分は風味を豊かにするだけでなく、健康にも良い影響を与えますが、妊娠中には適切な摂取量を守ることが大切です。
レモングラスの影響
レモングラスは、トムヤムクンやグリーンカレーなどのタイ料理に欠かせないハーブです。爽やかな香りと独特の風味が特徴ですが、妊娠中には少量にとどめることが推奨されます。レモングラスには子宮収縮を引き起こす可能性がある成分が含まれており、特に妊娠初期や後期には注意が必要です。不安がある場合は、食べることを控えた方が良いですが、基本的には食事の範囲内の量でしたら問題ありません。
問題とされるのは、レモングラスの精油だったり、サプリメント、ハーブティーなど凝縮されたようなものは禁忌とされています。
ターメリックの影響と料理例
ターメリックは、カレー粉の主成分として知られる鮮やかな黄色のスパイスで、抗酸化作用や抗炎症作用があります。通常の料理に含まれるターメリックの量であれば、妊娠中でも安全に摂取でき、健康に良い影響をもたらします。
例えば、「カオモックガイ(タイ風チキンビリヤニ)」や「カレーイエン(イエローカレー)」では、ターメリックが主要なスパイスとして使われています。これらの料理は、ターメリックの風味と健康効果を楽しむのに最適です。
しかし、ターメリックをサプリメントやエキスとして高濃度で摂取する場合には注意が必要です。高用量のターメリックやクルクミンを摂取すると、子宮収縮を引き起こす可能性があると一部で報告されています。特に妊娠初期や後期には、サプリメントの使用やターメリックを多量に摂取することは避け、通常の料理での使用にとどめるのが安全です。
他の料理として、「パッポンカリー(タイ風カニのカレー炒め)」や「トートマンプラー(タイ風フィッシュケーキ)」でもターメリックが使われています。これらの料理も通常の摂取量であれば、妊娠中でも安心して楽しむことができます。
ターメリックを含む料理を楽しむ際には、通常の料理で使用する分には問題ありませんが、過剰な摂取やサプリメントの使用は避け、医師に相談することをお勧めします。安全な範囲でターメリックを活用することで、妊娠中でも豊かな食生活を楽しむことができます。
パクチーの影響
パクチーにはレモングラスなどのように子宮収縮作用はありません。
通常範囲の量を楽しむ分には何の影響もありません。
ですが、過剰に摂取してしまうと、パクチーには整腸作用があるため、
腸が働きすぎて下痢をする可能性は否定できませんので、過剰に摂取することは避けた方が良いでしょう。
パクチーサラダ1人前を食べるなどの量でしたら問題はありません。
② 高塩分料理の影響と塩分管理のコツ
タイ料理は、ナンプラー(魚醤)やパームシュガーを多用するため、塩分や糖分が高くなりがちです。
妊娠中に過剰な塩分を摂取すると、高血圧や浮腫のリスクが高まります。
これを避けるためには、スープを少量に抑えたり、家庭で料理を作る際に減塩の調味料を使うことが有効です。
また、外食時には塩分控えめで調理してもらうようにリクエストすることも一つの手ですが、
普段塩分の摂取量に気をつけているのであれば、たまの外食時程度は多めに摂取したとしても問題になることはないでしょう。
塩分を多めに摂取する日は、生の野菜や生の果物を積極的に取り入れましょう。
これらにはカリウムが豊富に含まれており、カリウムは体内の塩分を体外に排出する作用があるため、
塩分を摂り過ぎている場合の対処法になります。
③ 辛味成分と妊娠中の消化器への影響
タイ料理の辛味成分であるカプサイシンは、胃腸に刺激を与えることがあります。
妊娠中は消化器が敏感になっているため、辛味が強い料理を食べると胃もたれや胸焼けを引き起こす可能性がありますし、人によっては腹痛や下痢を引き起こす場合もあります。
ですので、特に激辛と呼ばれるものは妊娠中は避けた方が良いです。
激辛に強い方であっても、激辛のものを食べると痔になるリスクが増加します。
妊娠中に痔になると、薬や治療法が限られる可能性が出てくるため、
基本的には激辛のものは避けてください。ピリ辛程度であれば問題が起こることは少ないです。
もし辛いものが食べたくなった場合は、辛さを調整したり、少量から試してみると良いでしょう。
また、辛味を和らげるために、ヨーグルトやミルクを一緒に摂取することも効果的です。
④ 妊娠中に注意が必要な発酵食品やシーフード
タイ料理には、発酵食品やシーフードが多く使われていますが、これらは妊娠中には注意が必要です。
発酵食品は菌の影響で食中毒のリスクがあり、シーフードには生のまま使用されることが多いため、鮮度が不十分だとリステリア菌やサルモネラ菌の危険性があります。
これらの食品は十分に加熱されているか、信頼できるレストランで調理されたものを選ぶようにしましょう。
基本的には日本では食品衛生法が十分に行き届いてますので、鮮度の心配をする必要はありませんが、
生魚や生肉、あるいは半生のお肉やスモークサーモンなどはリステリア菌やトキソプラズマが存在する可能性があるため、食べることを避けた方が無難です。
妊娠中にタイ料理を安全に楽しむためのポイント
① 外食時のタイ料理選びで気を付けること
外食でタイ料理を楽しむ際には、料理の調理法や使用されている食材に注意を払うことが大切です。
例えば、スープやカレーなどの液体を多く含む料理は、塩分が高いことが多いため、控えめにするのが良いでしょう。
また、辛さのレベルを調整できるかどうかも確認すると良いです。
妊娠中は普段よりも辛味に敏感になることが多いため、辛味を抑えてもらうのが安心です。
② 家庭でタイ料理を作る際の安全対策
家庭でタイ料理を作る際には、使用する食材の鮮度や調理の過程に注意を払うことが重要です。
特にシーフードは、十分に加熱することで食中毒のリスクを減らすことができます。
また、塩分や辛味を控えめにし、妊娠中でも安心して楽しめるように調整することがポイントです。
さらに、妊娠中は消化が良く、栄養バランスの取れた食事を心掛けることが大切です。
③ 塩分と辛味を抑えたレシピの工夫
タイ料理を家庭で作る際には、塩分と辛味を抑える工夫が必要です。
ナンプラーの使用量を減らし、代わりにライムジュースやコリアンダー(パクチー)で風味を補うと、味を損なわずに塩分を抑えることができます。
また、辛味はチリペーストや唐辛子を減らし、マイルドなカレー粉を使用することで、優しい味わいに仕上げることができます。
このように工夫することで、妊娠中でも安全にタイ料理を楽しむことができます。
④ 妊娠中でも楽しめるタイ料理の低カロリーメニュー
妊娠中は体重管理も大切です。
そのため、カロリーを抑えたタイ料理のメニューを選ぶことが重要です。
例えば、蒸し鶏を使ったカオマンガイや、野菜たっぷりのトムヤムクンは低カロリーで栄養価も高い料理です。
また、春雨サラダや野菜スープなどもヘルシーで、妊娠中に必要なビタミンやミネラルをしっかり摂取できます。
妊娠中に安心して食べられるタイ料理リスト
妊娠中でも楽しめる、栄養バランスが良く、安心して食べられるタイ料理を紹介します。これらの料理は、適切に調理されており、妊婦さんにとって安全です。
① カオマンガイ(蒸し鶏ご飯)
蒸し鶏とご飯をメインにしたシンプルな料理で、鶏肉はしっかり火を通しているため安全に食べられます。塩分控えめに調整することで、さらに健康的です。
② トムヤムクン(辛味酸味スープ)
辛さを調整し、レモングラスを多量に入れなければ、妊娠中でも安心して楽しめるスープです。エビや鶏肉を使用する場合は、十分に加熱することが重要です。
③ ソムタム・タイ(パパイヤサラダ)
未熟なパパイヤを使用していない場合は、安心して食べられるサラダです。辛味と塩分を調整し、ヘルシーな一品に仕上げることができます。
④ パッタイ(タイ風焼きそば)
米麺を使った焼きそばで、野菜や豆腐を加えることで栄養バランスが良くなります。ナンプラーの量を控えめにし、辛さを抑えると良いでしょう。
⑤ トムカーガイ(ココナッツミルクのスープ)
ココナッツミルクを使った優しい味わいのスープで、辛味を控えめにし、鶏肉や野菜をたっぷり加えて栄養価を高めた一品です。
⑥ ガパオライス(鶏肉のバジル炒めご飯)
鶏ひき肉とバジルを炒めた料理で、妊娠中でも安全に食べられます。卵を目玉焼きにして添えることで、さらに栄養価がアップします。辛味は控えめに調整可能です。
なお、妊娠中は半熟卵も控えるように言われていますが、
日本の新鮮な卵で賞味期限内のものを冷蔵保存しているものについては、
サルモネラ菌は存在しないか、存在しても食中毒になるほどの数はいないため、
半熟卵であっても、日本であれば食中毒になる可能性は限りなく低いため食べることはできます。
とはいえ、しっかりと火を通した物が推奨されているため、気になる場合は避けてください。
⑦ クン・オップ・ウンセン(エビと春雨の蒸し物)
エビと春雨を蒸した料理で、シンプルな味わいが特徴です。エビはしっかりと加熱されているため、妊娠中でも安心して食べられます。生姜やニンニクで風味を加えた一品です。
生姜やにんにくは過剰に摂取しなければ妊娠中に食べても問題ありません。
にんにくは過剰に摂取すると腹痛や下痢になることがありますので、過剰摂取は避けてください。
⑧ ナムトック・ムー(豚肉のスパイシーサラダ)
豚肉を使ったサラダで、酸味と辛味が絶妙に混ざった料理です。豚肉はしっかりと火を通し、辛さを調整すれば、妊娠中でも安心して食べられます。ミントやコリアンダーがアクセントになります。
なお、ミントにもレモングラスのように子宮収縮作用があるのですが、一般常識的な量でしたら問題ありません。
⑨ カノムチーン・ナムヤー(カレーソースがけ米麺)
米麺にカレーソースをかけた料理で、カレーソースにはココナッツミルクが使われ、優しい味わいが特徴です。辛味を控えめにし、鶏肉や野菜を加えることで、栄養バランスが良くなります。
⑩ カオトム(タイ風お粥)
鶏肉や魚介類、野菜を煮込んだお粥で、消化に良く、妊娠中でも安心して食べられます。特に体調が優れないときにも適した料理で、塩分控えめに調整するとさらに良いでしょう。
⑪ カオトムマッド(バナナともち米のデザート)
バナナともち米をバナナの葉で包んで蒸したデザートです。ココナッツミルクの自然な甘さが楽しめ、栄養価も高いデザートとして妊娠中におすすめです。
⑫ マンゴースティッキーライス(カオニャオ・マムアン)
マンゴーともち米を合わせたデザートで、ココナッツミルクで甘さを調整しています。マンゴーのビタミンCと食物繊維が豊富で、妊娠中の栄養補給にも最適です。
まとめ
妊娠中でもタイ料理を楽しむことは可能ですが、いくつかの注意点を守ることが大切です。
まず、生のシーフードや発酵食品、辛味の強い料理は避け、代わりに加熱調理されたものや塩分・辛味を控えめにした料理を選ぶと安心です。
また、レモングラスなどのハーブにも子宮収縮作用があるため、摂取量には注意が必要です。
今回ご紹介した安心して食べられるタイ料理リストを参考に、栄養バランスを考慮しながら楽しむことで、妊娠期間中でも美味しい食事を続けることができます。
外食や家庭での調理の際にも、これらのポイントを押さえて安全にタイ料理を楽しんでくださいね。